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AIを利用し「量子指紋」を解読することに成功

量子を理解するAIを開発し、電気抵抗の情報から試料のナノ微細構造を復元することに成功しました。

電気抵抗は、物質の中での電子の流れやすさを表します。金属などの物質は物質固有の電気抵抗の値をもち、同じ大きさの金属はおおよそ同じ電気抵抗を示します。しかしながら、ナノメートル(1 mmの1000000分の1の長さ)というとても小さな世界では、量子力学が電子の運動を支配し、この状況は一変します。電子が波のように金属中を漂い、金属の表面や障害物に散乱された多くの波が干渉し、波の強め合い・弱め合いによって電気抵抗が大きく変化します。言い換えれば、電気抵抗に金属の形状や障害物の分布などのミクロな情報が含まれているのです。しかしながら、このような量子力学的な波の干渉は極めて複雑で、電気抵抗からミクロな情報を復元することは夢物語とされてきました。
今回、大門助教らは、量子力学的な干渉を解読するAIを開発し、電気抵抗の情報だけから金属内部の微細な構造を復元することに成功しました。近年の目覚ましい発展により、AIが人知を超える精度でデータを認識できることに着目し、量子干渉の解読に特化したAIを開発しました。開発したAIは一見ランダムに見える電気抵抗の変化に法則性を見出し、電気抵抗のデータだけから金属内部のミクロな構造、ひいては量子力学的な干渉の情報を引き出すことができます。

本研究成果は、英国科学雑誌「Nature Communications」に2022年6月8日(英国時間)に掲載されました。


古典および量子力学的な描像における電子の電気伝導の模式図


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