研究成果
Reaserch result
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超薄膜物質の磁性を容易に測定できる手法を開発スピン流は電子の自転に由来する磁石の性質を指し、電流と対比され次世代技術スピントロニクス注1)の基礎現象として注目されています。 さて、電流の流れ易さ(電気伝導度)を調べることで、物質の性質を金属、半導体、絶縁体と分類することができます。では、スピン流の流れ易さ(スピン伝導度)を調べることで、物質の性質を分類することはできないのでしょうか。 今回、そのスピン流を用いて物質の磁石がもつ性質である、磁性を観測することができることを明らかになりました。 実験では、試料として磁性絶縁体であるイットリウム...
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熱を流すと金属が磁石になる現象を発見例えば鉄・コバルトなどの金属は磁石を近づけると、自身も磁石の性質をもつことができます。しかし金などもともと磁石にくっつかない金属は、たとえ磁石を近づけてもそれ自身が磁石になることはない、そう考えられてきました。しかし今回、そこに熱を流すことによって金が磁石の性質を示す、という現象を世界で初めて観測しました。 物質が磁気に反応する性質・磁性は、物質の持つ基本的な性質の1つであり、長い研究の歴史があります。磁性を持つ物質は磁性体と呼ばれ、特に自発磁化を持つ物質を磁石と呼びます。 齊藤教授らが発見し...
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ブラックホールの理論を用いて磁性体の物理量を計算する手法を開発ブラックホールは光さえも抜け出すことのできないほど、質量が大きくかつ高密度で強大な重力を持つ天体であることが知られています。この天体を理解するには、強い重力を記述する一般相対性理論が必要不可欠であり、最近では、ブラックホールの衝突によって生じた重力波の検出にも成功しています。近年、一般相対性理論と量子場の理論を統合してブラックホールの量子力学を理解しようとする試みが、超弦理論を使って大きな進歩を遂げています。その取り組みから現れたホログラフィック双対性は、ブラックホールを理解するだけでなく、...
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液体金属流から電気エネルギーを取り出せることを発見電気エネルギーを取り出すと聞くとタービンやの大型の発電設備が必要と思うかもしれません。しかし今回、液体金属を細い管に流す、それだけで電気エネルギーが取り出せるという現象を発見しました。 近年、ナノテクノロジーの目覚ましい進展に伴い、日常で私たちが利用している電流・電気の流れだけでなく、ミクロの世界における電子の自転運動を制御することによって、「スピン流注1)」と呼ばれる磁気の流れが電流と同じような働きを担う可能性が示唆されてきました。電流を流す際にはジュール熱が発生しますが、スピン流は発生する...